
口コミ・レビュー
26 レビュー ( 4.3 out of 5 )
香りを確かめてみると、今時のフルーティーな酵母の匂いは全くしなかった。その代わりに、秋の収穫期の田んぼや、藁のような少し泥臭くも温かい、お米本来の穀物感が優しく漂ってきた。お酒自体が主張しすぎない控えめな香りだからこそ、田舎の静かな夜にじっくりと五感を開いて向き合うのに最高の仕上がりになっていると感じた。
冬の酒だろうが何だろうが冷たい方が美味いと思って、キンキンに凍らせる手前まで冷やしてグイッとやってみた。正直、冷たすぎると味がカチカチに凍りついているみたいで、ただただ辛くて苦い液体のように思えて焦った。少し手でグラスを温めていくと、じんわりとお米の柔らかさが出てきたので、冷やしすぎは禁物だと勉強になった。
常温のときはどこか素っ気なくてツンツンしていたお酒だったが、ちろりでゆっくり温めて40度を越えたあたりから、急に表情が丸くなったように感じた。さらに50度以上の熱燗にすると、さっきまでの硬さが嘘のように喉当たりが柔らかくなり、お米の甘みが優しく広がってきた。温度ひとつでここまで変身する姿に、お燗の深さをしみじみ実感した。
口に含んだ最初の瞬間はまるで透明な水のように静かだったが、中盤から舌の上でシャープな酸味と米の芯にあるような硬質な旨味がカチッと噛み合うのを感じた。そして飲み込んだ後のキレの早さが本当に凄まじい。ベタつく甘みや余計な雑味が一切なくて、のど越しがすぱっと潔く引いていく。これぞ本物の辛口だと嬉しくなった。
スーパーで買ってきたカレイの煮付けや、ちょっと塩気が強めの塩辛をお供に熱燗でいただいた。甘辛い醤油のタレや魚の脂が口に残っているところへ、このお酒を熱いまま流し込むと、口の中の雑味がきれいに洗い流されて、次の一口がまた新鮮に楽しめた。お互いの良さを邪魔せず、家庭の泥臭いおかずの旨さを何倍にも引き立ててくれる名脇役だと思う。
口当たりが驚くほど滑らかで、引っかかりが一切ない。すーっと入ってきたかと思うと、中間あたりで五百万石らしいシャープな輪郭が顔を出し、最後はスパッと一瞬で消えるような引き際だった。変なベタつきが舌に残らないから、次のひと口がすぐに欲しくなる。この見事な引き算の美学というか、凄まじいキレの良さには本当に脱帽した。
グラスを鼻に近づけると、派手な果物系ではなく、蒸したお米そのものの甘い匂いや、わずかに竹の皮を思わせるような青く落ち着いた香りが鼻腔をくすぐった。どこか素朴でホッとするような香りで、薪ストーブの火を眺めながら静かに飲むのにこれ以上ないお酒だと感じた。気取らない、お米本来の強さがしっかり伝わってくるお酒だと思う。
冬限定ということでしっかり冷やしてグラスに注いでみたけれど、最初の印象はとにかく「硬い」の一言だった。氷水のようにクリアで綺麗な味わいではあるけれど、お米の甘みや風味が奥に引っ込んでしまって、どこかよそよそしい感じがした。ただ、喉を通るときのドライな刺激は心地よく、すっきり系が好きな人にはこれでも十分通用すると思った。
まずは人肌燗の35度くらいから試したが、まだ本領発揮ではない感じ。一気に45度の上燗から50度の熱燗まで一気に上げてみたら、これが大正解だった。ツンとしたアルコールのカドがすっかり取れて、お米の旨味がぐわっと膨らんで口の中に広がった。温度を変えるだけでここまで頑固な表情から優しい表情に変わるお酒は、本当に面白いと感じた。
我が家の大定番である「おでん」と合わせてみたけれど、これはもう、お箸が止まらなくなって大変だった。特に味がしみしみになった厚揚げや牛すじをハフハフ食べた後、この熱いお酒を流し込むと、口の中の油っこさがすーっと消えて、お出汁の旨味が何倍にも深く感じられた。やっぱりこういう飾らない家庭料理に寄り添ってくれるお酒が一番嬉しい。
麒麟山 火鉢
・分類 大吟醸酒
・画像
(参照:麒麟山酒造株式会社)
商品説明・特徴など
(参照:麒麟山酒造株式会社)
推薦温度
熱燗で飲む、大吟醸
「麒麟山 火鉢」は、熱燗を愉しむために造りました大吟醸です。
以下二つの推薦温度を飲み比べることで、熱燗の好みや面白さをご体感ください。新潟・奥阿賀産米100%使用
麒麟山酒造株式会社
- 47.5℃ …“味わい派”。上品な酸味と豊かな余韻が目立ちます。
- 50℃…“香り派” 。迫力と抜け、香りの勢いが愉しめます。
| スペック表 |
| 地区 | 下越 |
| 販売時期 | 11月頃 |
| 精米歩合 | 50% |
| 原料米 | 五百万石 |
| アルコール度 | 15度 |
| 日本酒度 | +3 |
| 酸度 | 1.4 |
蔵元情報

- 蔵元名:麒麟山酒造株式会社
- 代表銘柄:麒麟山(きりんざん)
- 住所:新潟県東蒲原郡阿賀町津川46
- 創業:西暦1843年
- 蔵元からのPR:麒麟山酒造は、新潟清酒の中でも淡麗辛口のお酒を醸す蔵元です。こよなくお酒を愛し、寝るまで盃を傾けていた五代目当主の齋藤徳男は、飲み飽きしないすっきりとした飲み口を何よりも好み、「酒とは辛いもの」という信念のもと酒造りを行っていました。麒麟山酒造は今日でも、その信念を貫き続け、地元新潟の人々が日常生活の一部として楽しめる淡麗辛口を、丹精こめて造り続けています。麒麟山酒造は奥阿賀産100%のお米づくりや、山を守る植林活動など、辛口な味わいと地域に根ざした酒造りにこだわっています。
日頃「麒麟山」を飲んでくださる人々のお陰で酒造りの理想を追い続けることができて、感謝の念に堪えません。
今後も奥阿賀の豊かな自然と伝統辛口の味わいを守っていく所存です。
蔵元おすすめ商品
麒麟山 火鉢
「麒麟山 火鉢」は、熱燗を愉しむために造りました大吟醸です。
以下二つの推薦温度を飲み比べることで、熱燗の好みや面白さをご体感ください。
47.5℃ ‐ “味わい派”。上品な酸味と豊かな余韻が目立ちます。
50℃ – “香り派” 。迫力と抜け、香りの勢いが愉しめます。
麒麟山 遠雷
山に降る雨の音と稲を揺らす風。遠い夜の底から響いてくる雷のように、ほのかに香り立つ、キリッとひきしまったお酒です。約50℃の燗でどうぞ。
麒麟山 錦の夢心地
麒麟山酒造の三大酒米のひとつ「たかね錦」。新潟県では珍しいこの小粒な酒米は、仕込むと凛とした飲み口になることが特徴です。「麒麟山 錦の夢心地」は、そんな「たかね錦」100%の大吟醸を低温貯蔵し、酒米の新たな可能性を夢見たお酒です。とろりとした味わいの中に凛とした清らかさをお楽しみください。
麒麟山 火鉢の飲み方まとめ
『麒麟山 火鉢』は、やや辛口のお酒です。
燗で美味しいお酒です。
| 呼び方 | 温度 | おすすめ |
|---|---|---|
| 雪冷え | 5℃ | |
| 花冷え | 10℃ | |
| 涼冷え | 15℃ | |
| 冷や | 20℃ | |
| 日向燗 | 30℃ | |
| 人肌燗 | 35℃ | |
| ぬる燗 | 40℃ | ◎ |
| 上燗 | 45℃ | ◎ |
| 熱燗 | 50℃ | ◎ |
| 飛び切り燗 | 55℃ | ◎ |
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