日本酒 あらばしり 中取り|違い・味わい・おすすめ銘柄まで徹底解説

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日本酒を詳しく知るにつれて気になるのが、「あらばしり」や「中取り」といった言葉。ラベルに書かれていても、何が違うのか分かりづらいですよね。これらは日本酒を搾る工程のタイミングを示す言葉で、味や香り、飲みやすさに大きな違いが生まれます。本記事では、「あらばしり」「中取り」の意味や特徴、味わいの違い、そしておすすめの銘柄までをわかりやすくまとめます。日本酒をもっと楽しみたい方にぴったりの内容です。

「あらばしり」「中取り」とは?基本の意味をおさらい

日本酒には「搾り」という大切な工程があります。発酵を終えたもろみを圧力で搾り、液体部分が日本酒として流れ出してくるのですが、そのタイミングによって呼び名が変わるのです。最初に勢いよく出てくる部分を「あらばしり」、中間の安定した部分を「中取り」または「中汲み」、そして最後に強い圧力で搾る部分を「責め」といいます。

「あらばしり」は名前のとおり“荒々しく走り出る酒”。微発泡感やフレッシュさがあり、生き生きとした香りと若々しい味わいが魅力です。一方「中取り」は、程よく落ち着きを見せたバランスの良いお酒。雑味が少なく、香りと口当たりが整った上品な仕上がりになります。

つまり同じ仕込みでも、どのタイミングで汲み取るかによって印象が大きく変わります。ぜひ飲み比べて、それぞれの個性を感じてみてください。日本酒の奥深さと職人の技を、きっと新たに発見できるでしょう。

搾り工程の流れ|どうやって日本酒は分けられるのか

日本酒ができあがるまでには、発酵を終えたもろみを搾る「上槽(じょうそう)」という大切な工程があります。この工程では、もろみを袋や機械に入れ、圧力をかけて液体と固体に分けていきます。最初に自然に流れ出る透明な部分が「あらばしり」、その後ほどよい圧力で搾られ安定した品質をもつ部分が「中取り」、最後にしっかり圧力をかけて得る濃い部分が「責め」と呼ばれます。

それぞれの段階で味や香りの印象が変化し、あらばしりはみずみずしく、中取りは香味のバランスに優れ、責めはコクのある味わいが楽しめます。この流れを知ると、一本の日本酒の中に職人の感覚と選別の妙が活かされていることが分かるでしょう。搾りの順番は、まるで日本酒の性格を形づくる物語のようでもあります。ぜひ飲むときに、その工程を思い浮かべながら味わってみてください。

あらばしりの特徴|フレッシュさと香り高さ

「あらばしり」は日本酒を搾るとき、最初に自然の力で勢いよく流れ出てくる部分を指します。まだ圧力をかけていないため、酒袋の中でもろみがゆっくり染み出し、微量の炭酸ガスを含んだ、きらめくようなフレッシュさを持っています。そのため口に含むと、軽やかでみずみずしい印象とともに、わずかな発泡感を感じることもあります。

味わいは荒々しく、やや若々しい印象を残しますが、それが「あらばしり」らしい魅力。新酒の時期に多く出回り、搾りたての躍動感や香り高さをそのまま楽しめます。香りは果実のように華やかで、甘酸っぱさのある余韻が特徴です。

冷やして飲むと軽快な香味が際立ち、刺身や柑橘を使った料理などとも好相性。まるで生まれたての日本酒の息づかいを感じるような、生命力にあふれた一杯として、日本酒ファンの心を掴んでやみません。

中取り(中汲み)の特徴|バランスと透明感の美

「中取り(なかどり)」または「中汲み(なかぐみ)」は、日本酒の搾り工程の中間部分にあたるお酒です。あらばしりのような荒々しさが落ち着き、圧力が安定した状態で搾られるため、雑味が少なく、味わい・香り・口当たりのすべてが最も調和しているといわれます。その整った香味から、多くの蔵元が「酒の最良部分」として特に大切に扱っています。

中取りの味わいは、まるで澄んだ水のように滑らかで透明感があり、上品な香りが穏やかに立ち上がります。飲んだ瞬間に感じる奥行きと柔らかさが心地よく、食中酒としても万能。旨味とキレの両方を持ち合わせているため、和食の繊細な味ともよく調和します。

そのバランスの良さから、中取りは日本酒の完成度を象徴する存在とも言えるでしょう。飲む人の心をゆっくり満たすような優しさがあり、静かに寄り添うような美しさが感じられます。

味の違いを徹底比較|どちらが自分好み?

「あらばしり」と「中取り」は日本酒の搾りの異なる段階で生まれるため、味わいにもはっきりした違いがあります。あらばしりはフレッシュで華やかな香りがあり、口に含むと軽やかな発泡感や爽やかな酸味を感じられることが特徴です。若々しく力強い印象で、日本酒のエネルギッシュな一面を楽しみたい方にぴったりです。

一方で、中取りは酒質が安定し、柔らかく滑らかな口当たりが魅力です。香りは控えめで上品、味わいは丸みを帯びていて飲みやすく、余韻にはほどよい旨味が続きます。落ち着いた味わいを好む方や、料理との相性を重視する方におすすめです。

このように、あらばしりは「生き生きとしたフレッシュさ」、中取りは「バランスの整った透明感」がそれぞれの魅力です。どちらが自分の好みか、飲み比べてみるのも日本酒を楽しむ大きな喜びの一つです。ぜひ、両方味わいながら、自分だけの一本を見つけてみてください。

香りと酸味のバランスに注目

日本酒の「あらばしり」と「中取り」は、香りや酸味のバランスにも大きな違いがあります。あらばしりは、その名の通り搾り始めの部分で、まだ酵母が活発に動いているため、生き生きとしたフレッシュさと豊かな香りが特徴です。柑橘のような爽やかな香りや微かな果実感が感じられ、酸味もはっきりと感じられることが多いです。

一方で中取りは、搾りの中心部分をじっくり取り出したもので、香りは穏やかで落ち着きがあり、透明感のある優しい風味に仕上がっています。酸味も控えめでまろやかになり、味全体のバランスが整っているため、誰にでも飲みやすい印象を与えます。

このように、あらばしりは「生き生きとした香りと力強い酸味」、中取りは「落ち着いた香味とまろやかな酸味」が味わいの方向性を決めています。飲み比べることで、自分の好みのバランスを見つける楽しみもあります。

飲み方のおすすめ|冷酒・ぬる燗・常温どれが合う?

日本酒の「あらばしり」と「中取り」は、それぞれ飲み方や楽しみ方に適した温度帯が異なります。

「あらばしり」はフレッシュで爽やかな味わいが魅力なので、冷酒で楽しむのがおすすめです。冷たくすることで、微かな発泡感や華やかな香りが引き立ち、さっぱりとした後口を楽しめます。刺身や天ぷらなどの軽やかな料理とよく合います。

一方、「中取り」はまろやかでバランスの良い味わいなので、冷酒はもちろん、常温やぬる燗でも美味しく味わえます。少し温めると、旨味がふくらみ香りが穏やかに広がるので、秋冬や和食の煮物、チーズなどと合わせて楽しむのにぴったりです。

それぞれの日本酒の個性に合わせて、温度帯と料理の組み合わせを工夫して飲むことで、より豊かな味わいが楽しめます。ぜひ気分や料理に合わせて色々な飲み方を試してみてください。

人気蔵元のおすすめ銘柄

新政酒造「No.6 R-type あらばしり」

新政酒造の「No.6 R-type」は、秋田県産の米を使い伝統的な生酛造りで仕込まれる生酒です。あらばしりの特徴である微発泡感があり、レモンや青リンゴのような爽やかな香りが口の中で広がります。ほどよい酸味とお米の旨みがバランスよく、軽やかで飲みやすい味わいです。アルコール度数も控えめなので、日本酒初心者にもおすすめの一本です。

黒龍酒造「吟のとびら 中取り」

黒龍酒造の「吟のとびら 中取り」は、中取り部分ならではの透明感と滑らかな口当たりが魅力です。雑味が少なく、ふわっと広がる穏やかな香りと柔らかな旨味があり、まろやかで上品な味わいです。和食との相性がよく、食中酒として特に人気があります。

田酒(西田酒造店)「純米吟醸 中取り」

田酒の「純米吟醸 中取り」は、中取りのやわらかくバランスの良い味わいを持ち、豊かな旨味としっかりしたキレが特徴です。香りは穏やかで、柔らかい口当たりと米の甘みを感じられ、上質な日本酒を求める人に支持されています。料理と合わせやすく、特別な席にもおすすめの銘柄です。

これらの銘柄は「あらばしり」と「中取り」のそれぞれの魅力を味わえる代表的な一本です。ぜひ好みやシーンに合わせて選んでみてください。

季節限定や搾りたての楽しみ方

「あらばしり」は主に冬から春にかけて出回る日本酒の一形態で、搾りたての新鮮な味わいがその魅力です。この時期は寒さが酒造りに適しており、酵母の動きも穏やかに。あらばしりのフレッシュで爽やかな香りや微発泡感は、季節の変わり目にぴったりの清涼感をもたらしてくれます。夏の暑い時期にも冷たくして楽しめば、暑さを和らげるさっぱりしたお酒として喜ばれます。

一方で「中取り」シリーズは、限定出荷であることが多く、落ち着いた味わいとバランスの良さが季節問わず愛されています。搾りたての中取りは特に春先に多く現れ、透明感のある上品な香りとまろやかな旨味が特長です。保存状態に気を付けて、家飲みの特別なひとときに楽しむのもおすすめです。

どちらも季節の旬を感じられる日本酒なので、季節限定品を上手に選んで、季節ごとの味わいの違いも味わってみてください。

よくある疑問Q&A

あらばしりは開栓後どのくらいもつ?
あらばしりは搾りたての生酒でフレッシュさが魅力のため、開栓後はできるだけ早めに飲むのがおすすめです。特に冷蔵保存し、1週間以内に飲み切ると香りや微発泡感を楽しみやすいです。時間が経つと酸味が強くなったり風味が変わりやすいので注意しましょう。

中取りはなぜ高価なの?
中取りは搾り工程の中でも最も品質が良い部分として特別に扱われます。雑味が少なく、香りと味わいのバランスが抜群で、酒質が安定しています。生産量も限られ、手間もかかるため希少価値が高くなり、結果的に価格が高くなることが多いです。

買うときにラベルで見分けるポイントは?
「あらばしり」「中取り」「責め」のいずれかの表示があるかどうかを確認します。さらに「生原酒」や「搾りたて」という文言があれば、あらばしりの可能性が高いです。中取りはラベルに「中取り」や「中汲み」と表記されることが多く、味の違いに敏感な方はこの表示で選ぶのがおすすめです。

家飲みでの楽しみ方と保存のコツ

日本酒の「あらばしり」と「中取り」は、それぞれの魅力を家飲みでも存分に楽しめるお酒です。まず保存は鮮度を保つために冷蔵庫での保管が基本です。特に火入れをしていない生酒タイプの場合は、温度が低いほど香りや味わいの変化を抑えられます。開栓後はできるだけ早く飲み切ることで、フレッシュな風味を楽しめます。

飲み方としては、あらばしりは冷やして爽やかな状態で、微発泡感やフルーティーな香りを満喫しましょう。中取りは冷酒はもちろん、少し常温に戻したり、ぬる燗にすることでまろやかさや旨味が引き立ち、食事と一緒にじっくり味わえます。

また、あらばしりと中取りを並べて飲み比べるのも家飲みの楽しみ方の一つ。違いを感じながら飲むことで、より深く日本酒への理解と愛着が深まります。ぜひ色々な温度やペアリングを試しながら、自宅で自分なりの楽しみ方を見つけてみてください。

まとめ

「あらばしり」と「中取り」は、日本酒を搾る工程で得られる異なる部分で、それぞれに個性豊かな味わいが宿っています。あらばしりは搾りたてのフレッシュで勢いのある香りが特徴で、微発泡感のある爽やかさと若々しい味わいを楽しめます。一方、中取りは透明感があり、香りと味わいのバランスが非常に良く、まろやかで完成度の高い味わいが魅力です。どちらも適した飲むシーンや季節があり、その特徴を知ることでより日本酒の深い世界を楽しめます。お店や通販で購入時はラベルの表記を参考にし、自分の好みに合った一本を見つけてみてください。この違いを意識するだけで、日本酒選びがさらに楽しく豊かになります。