吟醸酒 普通酒 違い｜日本酒の種類と特徴を徹底解説
日本酒にはさまざまな種類があり、特に「吟醸酒」と「普通酒」の違いは日本酒初心者から愛好家まで多くの方が気になるポイントです。この記事では、吟醸酒と普通酒の違いを原料や製法、味わい、価格、楽しみ方まで詳しく解説します。自分に合った日本酒選びの参考にしてください。
1. 吟醸酒と普通酒の基本的な違い
日本酒にはさまざまな種類がありますが、その中でも「吟醸酒」と「普通酒」は大きく異なる特徴を持っています。まず、吟醸酒は「特定名称酒」と呼ばれるグループに分類されます。特定名称酒とは、原料や精米歩合、製法などに一定の基準が設けられている日本酒のことです。吟醸酒は、精米歩合60％以下の米を使い、吟醸造りという低温でじっくり発酵させる製法で造られ、華やかな香りと繊細な味わいが特徴です。
一方、普通酒は「一般酒」とも呼ばれ、特定名称酒の基準に当てはまらない日本酒を指します。普通酒には精米歩合や原料、製法に厳密な決まりがなく、造り手の自由な発想で作られるため、味や香りのバリエーションが豊富です。価格も比較的リーズナブルで、日常的に楽しみやすいのが魅力です。
吟醸酒は、ラベルに「吟醸」や「大吟醸」といった表示があり、手間と時間をかけて造られるため、特別な日の一杯や贈り物にもぴったりです。普通酒は、スーパーやコンビニで手軽に手に入り、毎日の晩酌や家飲みに最適なお酒といえるでしょう。
このように、吟醸酒と普通酒は、分類や製法、味わい、価格帯など多くの点で違いがあります。自分の好みやシーンに合わせて選ぶことで、日本酒の楽しみ方がさらに広がります。
2. 吟醸酒とは？特徴と定義
吟醸酒は、日本酒の中でも「特定名称酒」と呼ばれるグループに属し、原料や製法に厳しい基準が設けられています。最大の特徴は、精米歩合60％以下、つまり玄米を40％以上削って磨いたお米を使うことです。お米をしっかり磨くことで雑味が減り、よりクリアで繊細な味わいが生まれます。
さらに、吟醸酒は「吟醸造り」と呼ばれる特別な製法で造られます。これは10度前後の低温で1ヶ月近くかけてじっくりと発酵させる方法で、杜氏や蔵人が細やかに温度や発酵の管理を行い、香りと味わいのバランスを丁寧に調整します。この手間ひまをかけた造りによって、吟醸酒特有の「吟醸香」と呼ばれるフルーティーで華やかな香りが生まれ、すっきりとした淡麗な味わい、なめらかなのどごしが楽しめます。
吟醸酒は、果実や花を思わせる上品な香りと、雑味の少ないクリアな味わいが魅力です。特別な日の一杯や、香りを楽しみたいときにぴったりのお酒といえるでしょう。手間と時間を惜しまず造られる吟醸酒は、日本酒の奥深さや職人技を感じられる一杯です。
3. 普通酒とは？特徴と定義
普通酒とは、吟醸酒や純米酒、本醸造酒などの「特定名称酒」に分類されない日本酒のことを指します。特定名称酒は、原料や精米歩合、製法などに厳しい基準が設けられていますが、普通酒にはそうした細かな決まりがありません。そのため、原料や精米歩合、製法の自由度が高く、造り手によってさまざまな個性や味わいが生まれます。
普通酒は、かつての「一級酒」「二級酒」といった級別制度の名残を引き継ぎ、現在も「上撰」「佳撰」などメーカー独自の呼称でランク付けされていることがあります2。価格も比較的リーズナブルで、スーパーマーケットやコンビニで手軽に購入できるパック酒やカップ酒の多くが普通酒です。日常の晩酌や家飲み、行楽のお供など、普段使いのお酒として親しまれています。
また、普通酒の中にも、精米歩合や原料にこだわった高品質なものや、蔵元の工夫が詰まった美味しい銘柄がたくさんあります。味わいは穏やかで控えめな香り、適度な旨味があり、飽きのこない落ち着いた飲み口が特徴です。日本酒全体の約6割を占めるほど流通量が多く、まさに「毎日を楽しむための酒」といえるでしょう。
普通酒は、特定名称酒のようなラベル表示がないことが多いですが、気軽に手に取れる身近な日本酒として、幅広い層に愛されています。自分好みの普通酒を見つけるのも、日本酒の楽しみ方のひとつです。
4. 原料の違い
吟醸酒と普通酒の大きな違いのひとつが、使用する原料にあります。吟醸酒は、厳選された高品質な酒米と米麹、そして吟味された醸造アルコールを使用して造られます。特に酒米は、雑味の原因となる外側をしっかりと削り落とし、精米歩合60％以下のものを使うのが特徴です。さらに、使用する醸造アルコールも高純度で、香りや味わいを引き立てるためにごく少量だけ加えられます。
一方、普通酒は原料に関する制限がほとんどありません。一般的な食用米や、精米歩合の高い米を使うことも多く、醸造アルコールの添加量にも特に上限が設けられていません。そのため、コストを抑えやすく、日常的に楽しめるリーズナブルな価格帯のお酒が多いのが特徴です。
吟醸酒は原料選びからこだわり、手間ひまをかけて造られるため、雑味が少なく華やかな香りと繊細な味わいが生まれます。普通酒は、造り手の自由な発想でさまざまな味わいが楽しめる一方、原料の質や配合によって個性が大きく変わるのも魅力のひとつです。自分の好みやシーンに合わせて、吟醸酒と普通酒を選んでみてください。
5. 精米歩合の違い
吟醸酒と普通酒の大きな違いのひとつが「精米歩合」です。精米歩合とは、玄米をどれだけ磨いたかを示す数値で、たとえば精米歩合60％なら、玄米の40％を削り、60％だけ残した状態を指します。吟醸酒はこの精米歩合が60％以下と定められており、米の外側に多く含まれるたんぱく質や脂肪など、雑味の原因となる成分をしっかり取り除いて造られます。そのため、吟醸酒はすっきりとした透明感のある味わいと、華やかな香りが特徴です。
一方、普通酒には精米歩合の規定がありません。食用米に近い精米歩合90％程度のものから、吟醸酒に近い高精米のものまで、造り手の自由な発想で幅広く造られています。精米歩合が高い（数値が低い）ほど、雑味が少なくクリアな味わいになりますが、精米にかかる手間やコストも増えるため、普通酒はコストパフォーマンスや日常使いのしやすさを重視したものが多いのも特徴です。
精米歩合の違いは、日本酒の味や香りに大きく影響します。吟醸酒は手間ひまをかけて磨かれた米から生まれる繊細な味わいを、普通酒は米本来の旨味や幅広い個性を楽しむことができます。ぜひ、精米歩合にも注目して日本酒選びを楽しんでみてください。
6. 製法の違い
吟醸酒と普通酒の違いの中でも、製法はとても大きなポイントです。吟醸酒は「吟醸造り」と呼ばれる特別な製法で造られます。これは、精米歩合60％以下まで磨いたお米を使い、5～10度ほどの低温で30日以上かけてじっくりと発酵させる方法です。この低温長期発酵によって、フルーティーで華やかな香り（吟醸香）や、すっきりとした繊細な味わいが生まれます。発酵管理や温度調整には高度な技術が必要で、杜氏や蔵人の経験と手間が詰まったお酒です。
一方、普通酒は製法に特別な決まりがなく、造り手の自由度が高いのが特徴です。発酵温度や期間も蔵ごとに異なり、コストや効率を重視した造り方が多く採用されています。そのため、味わいや香りも幅広く、日常的に楽しめるリーズナブルなお酒が多いのも普通酒の魅力です。
吟醸酒は、手間ひまをかけて造られる分、特別な香りや味わいが楽しめる一方、普通酒は気軽に飲める親しみやすさが魅力です。どちらも日本酒の奥深さを感じられる存在なので、シーンや気分に合わせて選んでみてください。
7. 味わい・香りの違い
吟醸酒と普通酒の最大の違いのひとつが、味わいや香りの個性です。吟醸酒は「吟醸香」と呼ばれるフルーティーで華やかな香りが特徴で、リンゴやナシ、パイナップル、バナナ、メロンなど果物を思わせる香りが広がります。この香りは、吟醸造りの低温長期発酵によって生まれる酢酸イソアミルやカプロン酸エチルといった香気成分によるものです。味わいはすっきりと上品で、雑味が少なく、なめらかなのどごしが楽しめます。冷やして飲むことで、より香りや繊細な味わいが引き立ちます。
一方、普通酒は原料や製法の自由度が高いため、味や香りの幅がとても広いのが特徴です。すっきりとした軽快なものから、しっかりとした旨味やコクを感じるものまで、バリエーション豊か。香りは控えめなものが多く、食事と合わせやすいのも魅力です。日常的に気軽に楽しめる味わいで、温度帯も常温や燗酒など幅広く楽しめます。
吟醸酒は香りや味わいをじっくり楽しみたいとき、普通酒は食事と一緒に気軽に味わいたいときにおすすめです。どちらも日本酒の奥深さを感じられるので、ぜひシーンや好みに合わせて選んでみてください。
8. 価格の違い
吟醸酒と普通酒の間には、価格面でも大きな違いがあります。吟醸酒は、精米歩合60％以下までお米を磨き、低温でじっくりと発酵させる「吟醸造り」という手間のかかる製法で造られます。さらに、使用する酒米も高品質なものが選ばれるため、原材料費や製造コストが高くなりがちです。そのため、吟醸酒は一般的に高価で、特別な日の贈り物やご褒美として選ばれることが多いお酒です。
一方、普通酒は原料や精米歩合、製法に厳しい決まりがなく、コストを抑えやすいのが特徴です。食用米を使ったり、精米歩合を高く設定したり、製造工程も効率化されているため、リーズナブルな価格で提供されることが多いです。スーパーやコンビニで手軽に購入でき、日常使いしやすいのが普通酒の魅力です。
吟醸酒はその分、華やかな香りや繊細な味わいを楽しめる特別感があり、普通酒は気軽に毎日の晩酌や食事と合わせて楽しめる親しみやすさがあります。価格の違いは、製造にかかる手間や原料の質、そしてお酒に込められた職人のこだわりの差ともいえるでしょう。シーンや予算に合わせて、吟醸酒と普通酒を使い分けてみてください。
9. 吟醸酒・普通酒のおすすめの飲み方
吟醸酒と普通酒は、それぞれの個性を活かした飲み方を選ぶことで、より一層おいしく楽しむことができます。
吟醸酒は、フルーティーで華やかな香りや繊細な味わいが特徴です。そのため、冷やして飲むのが最もおすすめです。冷蔵庫で10℃前後まで冷やし、ワイングラスや口のすぼまったグラスで香りを楽しみながら、ゆっくりと味わうと吟醸酒本来の魅力が引き立ちます。また、夏場はロックやソーダ割りで爽やかに楽しむのも良いでしょう。一部の吟醸酒は常温やぬる燗でも美味しくいただけるものもあるので、好みに合わせて温度を変えてみるのもおすすめです。
一方、普通酒は味や香りの幅が広く、飲み方も自由自在です。常温やぬる燗、熱燗など、温度を変えることで味わいの変化を楽しめます。寒い季節にはお湯割りや熱燗で体を温めたり、暑い時期には冷やしてすっきりと飲むのもおすすめです。また、普通酒は水割りやソーダ割りなどアレンジも楽しみやすく、食事と合わせて気軽に味わえるのが魅力です。
どちらのお酒も、和らぎ水（チェイサー）を用意して、ゆっくりと自分のペースで味わうのがポイントです。グラスや酒器を変えるだけでも印象が変わるので、ぜひいろいろな飲み方を試してみてください。自分にぴったりの楽しみ方を見つけることで、日本酒の世界がさらに広がります。
10. 吟醸酒・普通酒の選び方のポイント
吟醸酒と普通酒を選ぶ際は、香りや味わい、価格、そして飲むシーンに合わせて選ぶのがおすすめです。まず、吟醸酒はフルーティーで華やかな香りや、すっきりとした上品な味わいが特徴なので、特別な日や贈り物、ゆっくりとお酒を楽しみたいときにぴったりです。冷やして飲むことで、その香りや繊細な味わいがより引き立ちます。
一方、普通酒は味や香りの幅が広く、価格もリーズナブルなものが多いので、日常の晩酌や食事と一緒に気軽に楽しみたいときにおすすめです。常温や燗酒など、温度を変えてさまざまな飲み方ができるのも魅力です。
また、選ぶ際には自分の好みや体調、季節も意識してみましょう。たとえば、夏はすっきりとした淡麗タイプ、冬はコクのある芳醇タイプを選ぶと、よりおいしく感じられます。日本酒度や酸度、アミノ酸度などの数値もラベルで確認できるので、味の傾向を知りたい方は参考にしてみてください。
さらに、価格帯も吟醸酒はやや高価、普通酒は手頃なものが多いので、予算やシーンに合わせて選ぶと失敗がありません。贈り物の場合は、ラベルや銘柄の意味、パッケージデザインにも注目すると、より気持ちが伝わります。
自分の好みやシーンに合わせて吟醸酒・普通酒を選ぶことで、日本酒の楽しみ方がぐっと広がります。迷ったときは、いくつかのタイプを飲み比べてみるのもおすすめです。きっとお気に入りの一杯が見つかるはずです。
11. 吟醸酒・普通酒の代表的な銘柄
日本酒の世界には、初心者でも飲みやすく、かつ日本酒の魅力をしっかり感じられる吟醸酒・普通酒の銘柄がたくさんあります。ここでは、特に人気が高く、初めての方にもおすすめできる代表的な銘柄をいくつかご紹介します。
まず吟醸酒・大吟醸酒の代表格として有名なのが「獺祭（だっさい） 純米大吟醸」です。山田錦を45％まで磨き上げ、青リンゴのようなフルーティーな香りとクリアな後味が特徴で、誰が飲んでも美味しいと感じられる一本です。同じく「久保田 純米大吟醸」も、華やかな香りとバランスの良い甘み、酸味、そしてシャープなキレが融合した、初心者にも飲みやすい銘柄です。
普通酒の中で定番といえば「越乃寒梅 白ラベル」。新潟の地酒として長く愛されており、すっきりとした飲み口と上品な余韻が特徴です。精米歩合は吟醸酒並みの58％で、普通酒でありながら丁寧に造られているのが魅力です。
また、スパークリング日本酒を試してみたい方には「松竹梅白壁蔵 澪（みお）」や「一ノ蔵 発泡清酒 すず音」もおすすめです。どちらもフルーティーな香りとやさしい甘み、低アルコールで飲みやすく、乾杯やデザート酒としても人気があります。
このように、吟醸酒・普通酒にはそれぞれ個性豊かな銘柄が揃っています。まずは有名な銘柄から試してみて、自分の好みやシーンに合った日本酒を見つけてみてください。きっと日本酒の奥深さと楽しさを実感できるはずです。
まとめ
吟醸酒と普通酒は、原料や製法、味わい、価格など多くの点で明確な違いがあります。吟醸酒は、精米歩合60％以下まで磨いた高品質な米を使い、低温でじっくりと発酵させる「吟醸造り」によって、フルーティーで華やかな香りと繊細な味わいが生まれます。手間とコストがかかる分、特別な日の一杯や贈り物にもぴったりなお酒です。
一方、普通酒は原料や精米歩合、製法に厳しい決まりがなく、造り手の自由な発想で幅広い味わいが楽しめます。価格もリーズナブルで、日常の晩酌や気軽な家飲みに最適です。香りや味わいは控えめなものが多く、食事と合わせやすいのも魅力です。
どちらも日本酒の魅力が詰まったお酒ですので、自分の好みやその日の気分、シーンに合わせて選ぶことで、日本酒の楽しみ方がぐっと広がります。ぜひいろいろな日本酒を試して、自分だけのお気に入りを見つけてみてください。日本酒の世界は奥深く、きっと新しい発見があるはずです。