吟醸酒 本醸造|違いと特徴を徹底解説
日本酒にはさまざまな種類がありますが、「吟醸酒」と「本醸造酒」は特に人気の高いカテゴリーです。しかし、名前は聞いたことがあっても、その違いや特徴を詳しく知っている方は意外と少ないかもしれません。本記事では、吟醸酒と本醸造の違いを中心に、味わいの特徴やおすすめの飲み方、選び方のポイントまで詳しく解説します。日本酒選びに迷ったときの参考にしていただき、もっと日本酒を楽しんでいただけたら嬉しいです。
1. 吟醸酒と本醸造の定義とは
吟醸酒と本醸造酒は、どちらも「特定名称酒」と呼ばれる日本酒の一種です。この「特定名称酒」とは、原料や精米歩合、製造方法などに明確な基準が設けられている日本酒のカテゴリーを指します。
吟醸酒は、米を重量で4割以上削った(精米歩合60%以下)白米を原料に、低温で長期間発酵させる「吟醸造り」という特別な製法で造られます。この工程によって、フルーティーで華やかな香りと繊細な味わいが生まれるのが特徴です。
一方、本醸造酒は、米の外側を3割以上削った(精米歩合70%以下)白米を原料に、米・米麹・水に加えて少量の醸造アルコールを使用して造られます。醸造アルコールは焼酎などが使われ、味わいをすっきりとさせたり、香りを引き立てたりする役割があります。
このように、吟醸酒と本醸造酒は、使う原料や精米歩合、製造方法に明確な違いがあり、それぞれに個性豊かな味わいが楽しめます。日本酒選びの際には、こうした定義や特徴を知っておくと、自分好みの一本に出会いやすくなりますよ。
2. 精米歩合の違い
吟醸酒と本醸造酒の大きな違いのひとつが、「精米歩合」にあります。精米歩合とは、お米をどれだけ削ったかを示す割合のことで、数字が小さいほど多く削られていることになります。
吟醸酒は、精米歩合60%以下のお米を使って造られます。つまり、お米の外側を40%以上も削り落とし、中心部分だけを使って仕込むのです。お米の外側には雑味のもとになる成分が多く含まれているため、たくさん削ることで、雑味の少ないクリアで繊細な味わいが生まれます。また、吟醸酒はこの精米歩合の低さに加え、低温でじっくりと発酵させる「吟醸造り」によって、華やかな香りとすっきりとした飲み口が特徴となります。
一方、本醸造酒は精米歩合70%以下のお米を使用します。つまり、お米の外側を30%以上削って仕込まれます。吟醸酒よりも削る割合は少ないですが、十分に雑味が抑えられ、すっきりとした飲みやすさが特徴です。本醸造酒は、米本来の旨みをほどよく残しつつ、軽快な味わいを楽しめる日本酒です。
このように、精米歩合の違いはお酒の味わいや香りに大きく影響します。ぜひラベルの精米歩合にも注目して、自分好みの日本酒を探してみてくださいね。
3. 原料と製法の違い
吟醸酒と本醸造酒は、使われる原料や製造方法にもはっきりとした違いがあります。
まず吟醸酒は、「吟醸造り」と呼ばれる特別な製法で造られます。これは、精米歩合60%以下の白米と米麹、水、そして必要に応じてごく少量の醸造アルコールを使い、低温でじっくりと長い時間をかけて発酵させる方法です。この低温長期発酵によって、お米の持つ雑味を抑えつつ、フルーティーで華やかな香り(吟醸香)と、繊細でなめらかな味わいが引き出されます。手間と時間がかかる分、香り高く上品な日本酒に仕上がるのが吟醸酒の魅力です。
一方、本醸造酒は、米・米麹・水という日本酒の基本原料に加え、少量の醸造アルコールを添加して造られます。醸造アルコールは、香りや味わいを調整し、すっきりとした飲み口やキレを出す役割を持っています。精米歩合は70%以下で、吟醸酒ほど多くは削りませんが、米の旨みをしっかりと残しつつ、軽快で飲みやすい味わいに仕上がります。
このように、吟醸酒は手間ひまかけた吟醸造りによる香りの高さ、本醸造酒は醸造アルコールを活かしたすっきり感とキレが特徴です。どちらも日本酒の奥深い魅力を感じられるので、ぜひ飲み比べてみてくださいね。
4. 香りと味わいの特徴
吟醸酒と本醸造酒の最大の魅力は、それぞれが持つ香りと味わいの個性にあります。
まず吟醸酒は、なんといっても「吟醸香」と呼ばれるフルーティーで華やかな香りが特徴です。りんごや洋ナシ、バナナのような果実を思わせる香りがふんわりと広がり、グラスに注いだ瞬間から特別な気分を味わえます。味わいはとても繊細で、雑味が少なく、すっきりとした淡麗な口当たり。口に含むとやさしい甘みや爽やかな酸味が感じられ、後味もきれいに消えていきます。冷やして飲むことで、その香りや透明感のある味わいがより一層引き立ちます。
一方、本醸造酒は香りが控えめで、落ち着いた印象。華やかさよりも、すっきりとした辛口や軽快な飲み口が魅力です。米の旨みをほどよく感じつつ、シャープなキレがあり、飲み疲れしにくいのが特徴。冷やしても美味しいですが、ぬる燗や熱燗にしても味わいが崩れにくく、さまざまな温度帯で楽しめる懐の深さがあります。
このように、吟醸酒は香りや繊細さを、本醸造酒はすっきり感や飲みやすさを楽しめるお酒です。気分や料理に合わせて選ぶことで、日本酒の幅広い世界をより深く味わうことができます。ぜひ、両方の個性を飲み比べて、自分のお気に入りを見つけてみてくださいね。
5. 吟醸酒・本醸造酒の種類
吟醸酒と本醸造酒には、それぞれにバリエーションがあり、味わいや香り、製法の違いを楽しむことができます。
まず吟醸酒には、「大吟醸酒」や「純米吟醸酒」といった種類があります。大吟醸酒は、精米歩合が50%以下の米を使い、吟醸造りによってさらに雑味を抑え、クリアで華やかな香りが際立つお酒です。純米吟醸酒は、米・米麹・水のみで造られ、精米歩合60%以下の米を使用。米本来の旨味やコクを感じつつ、吟醸造りならではのフルーティーな香りが楽しめます。
一方、本醸造酒にも「特別本醸造酒」という種類が存在します。特別本醸造酒は、精米歩合が60%以下、または特別な製造方法で造られた本醸造酒です。より多く米を磨いているため、雑味が少なく、すっきりとしたクリアな味わいが特徴です。また、原料や製法にこだわったものも多く、同じ本醸造酒でも個性豊かな味わいが楽しめます。
このように、吟醸酒・本醸造酒ともに、さらに細かい種類があることで、日本酒の奥深さや選ぶ楽しさが広がります。ぜひ、いろいろなタイプを飲み比べて、自分好みの一本を見つけてみてくださいね。
6. 吟醸酒と本醸造酒の表示条件
吟醸酒や本醸造酒といった「特定名称酒」は、消費者が安心してお酒を選べるよう、原料や精米歩合、製造方法、醸造アルコールの使用量などに厳格な基準が設けられています。
たとえば、吟醸酒は精米歩合60%以下の白米を使用し、低温で長期間発酵させる「吟醸造り」で造られることが必須です。また、吟醸酒や本醸造酒に使える醸造アルコールの量は、白米重量の10%以下と定められています。さらに、原料米は農産物検査法で3等以上に格付けされた玄米を使用するなど、品質にもこだわりがあります。
本醸造酒は精米歩合70%以下の白米を使い、米・米麹・水・醸造アルコールで造られます。なお、こうじ米の使用割合は白米重量の15%以上とされており、これも品質を保つための大切な基準です。
これらの条件を満たした日本酒だけが、「吟醸酒」や「本醸造酒」としてラベルに表示できるようになっています。消費者が安心して選べるよう、1%単位で精米歩合の表示も義務付けられています。
このように、表示条件がしっかりと定められていることで、私たちは安心して吟醸酒や本醸造酒を楽しむことができるのです。お酒選びの際は、ラベルの情報にもぜひ目を向けてみてくださいね。
7. 吟醸酒と本醸造酒のおすすめの飲み方
日本酒は温度によって香りや味わいが大きく変化します。吟醸酒と本醸造酒、それぞれの魅力を最大限に引き出す飲み方を知っておくと、より一層お酒の世界が広がります。
まず、吟醸酒は「冷やして飲む」のが一番のおすすめです。吟醸酒特有のフルーティーで華やかな香り(吟醸香)は、冷やすことでより鮮やかに立ち上がります。冷蔵庫でしっかり冷やし、8~12℃くらいの温度帯でグラスに注ぐと、香りも味わいも繊細に感じられます。ワイングラスのような広がりのあるグラスを使うと、香りがより豊かに広がるので、ぜひ試してみてください。
一方、本醸造酒は飲み方の幅がとても広いのが魅力です。冷やしても、常温でも、ぬる燗や熱燗にしても美味しく楽しめます。冷やせばすっきりとしたキレが際立ち、燗にすれば米の旨みやコクがふわっと広がります。季節や気分、合わせる料理によって温度を変えてみるのもおすすめです。
このように、吟醸酒は香りを楽しむために冷やして、本醸造酒は温度帯を変えて味わいの変化を楽しむのがポイントです。お酒の個性に合わせて飲み方を工夫すれば、きっと新しい美味しさに出会えるはずです。自分好みの温度やグラスを見つけて、ぜひ日本酒の奥深さを体感してくださいね。
8. 料理との相性
日本酒は食事と一緒に楽しむことで、その魅力がさらに広がります。吟醸酒と本醸造酒は、それぞれに合う料理が異なり、ペアリングを工夫することでお互いの良さを引き立て合うことができます。
吟醸酒は、フルーティーで華やかな香りと繊細な味わいが特徴です。そのため、繊細な味付けの料理や素材の持ち味を活かしたお刺身、白身魚のカルパッチョ、軽やかな前菜などと相性抜群です。特に淡白な魚介類や野菜の料理、塩やレモンで味付けしたシンプルな一皿と合わせると、吟醸酒の香りやクリアな味わいが料理を引き立て、口の中で心地よいハーモニーを生み出します。冷やして飲む吟醸酒は、食事のスタートや乾杯にもぴったりです。
一方、本醸造酒はすっきりとした飲み口とキレの良さが魅力。和食全般はもちろん、煮物や焼き魚、天ぷらなど、家庭料理ともよく合います。燗酒にすると米の旨みやコクがふくらみ、味の濃い料理や脂ののった魚、肉料理とも相性が良くなります。普段の食事に気軽に合わせやすいのが本醸造酒の嬉しいポイントです。
このように、吟醸酒と本醸造酒は、それぞれの個性に合わせた料理と組み合わせることで、より一層おいしく楽しむことができます。ぜひいろいろなペアリングを試して、お気に入りの組み合わせを見つけてみてくださいね。
9. 吟醸酒と本醸造酒の選び方
吟醸酒と本醸造酒は、それぞれに異なる魅力があり、どちらを選ぶか迷う方も多いのではないでしょうか。選び方のポイントは、香りや味の好み、合わせたい料理、そして飲むシーンに合わせることです。
吟醸酒は、フルーティーで華やかな香りや繊細な味わいが特徴です。冷やして飲むとその香りが際立ち、特別な日の乾杯や、ゆっくりとお酒を味わいたいときにぴったりです。お刺身や繊細な味付けの料理と合わせると、お互いの良さが引き立ちます。
一方、本醸造酒は香りが控えめで、すっきりとした辛口や軽快な飲み口が魅力です。冷やしても燗にしても美味しく、和食全般や家庭料理との相性も抜群。日常の食卓や、気軽に飲みたいときにおすすめです。
どちらも日本酒の奥深さを感じられるお酒なので、香りや味の好み、食事との組み合わせ、シーンに合わせて選ぶことで、より自分らしい日本酒の楽しみ方が見つかります。気になる銘柄があれば、ぜひ飲み比べてみてくださいね。
10. よくある質問Q&A
「吟醸酒と純米吟醸酒の違いは?」
吟醸酒と純米吟醸酒は、どちらも精米歩合60%以下のお米を使い、低温でじっくり発酵させる「吟醸造り」のお酒です。大きな違いは原料にあります。吟醸酒は米・米麹・水に加えて少量の醸造アルコールを使用しますが、純米吟醸酒は米・米麹・水のみで造られ、醸造アルコールは加えません。そのため、吟醸酒は香りが華やかで軽やかな飲み口、純米吟醸酒は米の旨味やコクがより感じられる味わいになります。
「本醸造酒は純米酒より劣るの?」
本醸造酒と純米酒はどちらが優れている、劣っているということはありません。純米酒は米・米麹・水だけで造られ、旨味やコクがしっかり感じられるのが特徴です。本醸造酒は、純米酒に比べて少量の醸造アルコールを加えることで、すっきりとした飲み口やキレの良さが生まれます。どちらも個性が異なるため、好みや飲むシーン、合わせる料理によって選ぶのがおすすめです。
「特別本醸造酒・特別純米酒とは?」
「特別本醸造酒」と「特別純米酒」は、通常の本醸造酒・純米酒よりも精米歩合が高い(60%以下)か、または特別な製造方法で造られた日本酒です。特別本醸造酒は米・米麹・水・醸造アルコールで造られ、特別純米酒は米・米麹・水のみで造られます。どちらも香味や色沢が特に良好なものが「特別」として認められています。吟醸酒や純米吟醸酒と似ていますが、香りや味わいのバランスが異なるため、飲み比べてみると面白いですよ。
日本酒の世界は奥深く、さまざまな個性が楽しめます。疑問があればぜひいろいろな種類を試して、自分だけのお気に入りを見つけてみてくださいね。
11. 吟醸酒・本醸造酒の保存と楽しみ方
吟醸酒や本醸造酒を美味しく楽しむためには、保存方法にも少し気を配ることが大切です。どちらのお酒も、基本は直射日光や高温を避けた冷暗所、もしくは冷蔵庫での保存がおすすめです。特に吟醸酒は華やかな香りや繊細な味わいが魅力なので、温度変化や光の影響を受けやすく、冷蔵庫での保存がより安心です。
本醸造酒も冷暗所での保存が基本ですが、比較的安定した酒質のため、常温でも短期間なら大きく品質が損なわれることはありません。ただし、暑い季節や長期保存の場合は冷蔵庫を利用しましょう。
また、どちらのお酒も開栓後はできるだけ早めに飲み切るのが理想です。空気に触れることで酸化が進み、風味が落ちやすくなります。吟醸酒は特に繊細なので、開栓後は数日以内、本醸造酒も1週間以内を目安に楽しむと、よりフレッシュな美味しさを味わえます。
保存の際は、瓶を立てて保管し、しっかりとキャップを閉めておきましょう。ちょっとした工夫で、最後の一杯までお酒の魅力をしっかり感じることができます。大切なひとときや食事の時間に、ぜひベストな状態のお酒を楽しんでくださいね。
まとめ
吟醸酒と本醸造酒は、日本酒の中でも特に人気が高く、それぞれに異なる個性と魅力があります。吟醸酒は、精米歩合60%以下の米を使い、低温でじっくりと発酵させる吟醸造りによって、フルーティーで華やかな香りと繊細な味わいが楽しめます。特別な日や、香りをじっくり味わいたいときにぴったりのお酒です。
一方、本醸造酒は精米歩合70%以下の米を使い、米・米麹・水に加えて少量の醸造アルコールを使用することで、すっきりとした飲み口やキレの良さが生まれます。和食全般や家庭料理とも相性が良く、日常の食卓や気軽な晩酌にもおすすめです。
どちらも日本酒の奥深さを感じられる素晴らしいお酒ですので、香りや味の好み、合わせたい料理や飲むシーンに合わせて選んでみてください。飲み比べを楽しみながら、自分だけのお気に入りを見つけるのも日本酒の醍醐味です。ぜひ、吟醸酒と本醸造酒の世界をもっと身近に感じて、豊かなひとときをお過ごしください。