季節の日本酒とは?
・日本酒の酒造年度
酒造業界では毎年7月1日から翌年の6月30日までを1つの単位とし、これを酒造年度と呼んでいます。
英語で Brewery Year ということからBYと略されます。年数字は元号を用いることが多く、令和元年であればR1BYや1BYなどと表記されます。
また、西暦の場合は2019BYと表記します。
《冬》
・新酒
新酒とは本来酒造年度内に造られた日本酒全般を指しますが、日本酒は秋に収穫した新米を使い、冬~春にかけて造られることが一般的です。
10月~3月頃には各蔵から新米で造られた日本酒が出揃います。このように、その年に収穫した新米で造られた最初の日本酒という意味で使われることも多いです。
・しぼりたて
しぼりたてとは、日本酒を絞ったあと貯蔵せずすぐに出荷される日本酒のことです。
火入れを一度も行わないため生酒に分類されます。火入れや貯蔵をしていない分若々しいフレッシュな味わいが楽しめます。
11月~3月頃に出荷される生酒をしぼりたてと呼ぶことが多いようです。
・初しぼり
初しぼりとは、しぼりたての中でもその年の最初のもろみを絞って造られた日本酒のことです。
どちらも新酒ですが、初しぼりには初物のようなおめでたい意味が含まれています。
・にごり酒
にごり酒はもろみを粗く濾したお酒で、白い澱が残っており、お米の芳醇な香りや濃厚な味わいが楽しめます。冬~春にかけて多く出荷されます。
中でも活性にごりと呼ばれるにごり酒は、菌が生きているため瓶の中でも発酵が進み、シュワシュワとした炭酸感を楽しめます。
にごり酒は澱ごと飲んだり、上澄みと澱を混ぜず別々に飲むなど、さまざまな楽しみ方があります。
《春》
・春酒
春酒とは春限定の日本酒です。花見酒ともいいます。
春酒に明確な定義はありませんが、桜をイメージさせるピンク色のラベルやボトルの物が多いです。
味わいは軽やかな甘口で、春らしい華やかな香りも特徴です。
《夏》
・夏酒
夏酒にも明確な定義はありません。
清涼感を感じさせる青色や水色のラベルが多く、青色や透明なボトルに詰められることも多いです。
夏酒にはフレッシュでみずみずしい生酒タイプや、心地よい酸味を感じられるタイプ、舌にガス感を感じさせる微発泡タイプなどがあります。
また、味わいの濃い無濾過生原酒を、氷を入れたグラスに注いでオン・ザ・ロックで楽しんだり、日本酒を凍らせてシャーベット状にして飲むみぞれ酒といった飲み方もあります。
《秋》
・秋あがり
冬~春にかけて搾ったお酒が、夏を越えて熟成され酒質が向上した状態を秋あがりといいます。
反対に上手く熟成されなかった場合は秋下がり、秋落ちなどといいます。
・ひやおろし
ひやおろしは、冬から春にかけて搾ったお酒を一度だけ火入れし、夏の間涼しい蔵で貯蔵します。
9月に入って気温も下がってきた頃に瓶詰めされて出荷されます。
夏の間に程よく熟成が進み、しぼりたての時の粗さが取れ、まろやかで丸みのある味わい深いお酒になっています。